五十肩=肩関節周囲炎は、肩関節やその周辺の組織に炎症が起こることで、肩の痛みや動きの制限が生じる症状です。
40代から60代に多く見られ、「肩が上がらない」「痛みで夜眠れない」といった訴えが特徴です。
日常生活での動作が制限されるため、放置せず適切な治療を受けることが大切です。
鍼灸治療は、五十肩の痛みや運動制限を緩和し、肩の機能回復を助ける自然なアプローチとして効果を発揮します。
五十肩の原因と症状
五十肩は、明確な原因が特定されないことが多いですが、以下のような要因が関連していると考えられています。
- 加齢による変化
肩関節を支える筋肉や腱、靭帯が老化することで炎症や損傷が起こりやすくなります。 - 過度な使用やストレス
長時間のデスクワークや腕を多用する作業で肩関節に負担がかかり、炎症を引き起こします。 - 血行不良
肩周辺の血流が悪くなると、筋肉や腱が硬くなり、炎症や痛みが生じやすくなります。
五十肩の主な症状は以下の通りです。
- 痛み
特に夜間に痛みが強まり、睡眠を妨げることがあります。 - 動きの制限
腕を上げたり後ろに回したりする動作が難しくなります。 - 炎症期から回復期までの長期間にわたる経過
痛みがひどい炎症期、痛みは軽減するが動きが制限される凍結期、徐々に可動域が回復する回復期と進行します。
鍼灸治療による五十肩の改善
鍼灸治療では、五十肩の痛みや炎症を和らげるだけでなく、肩周辺の筋肉や腱の緊張を緩め、血行を促進することで自然治癒力を高めます。
1. 痛みの緩和と炎症の軽減
鍼で肩の痛みを和らげるツボを刺激し、痛みを抑制する効果を引き出します。代表的なツボには、「肩井(けんせい)」「肩髃(けんぐう)」「天宗(てんそう)」などがあります。
2. 血流改善
鍼刺激やお灸で肩周辺の血流を改善し、炎症の原因となる老廃物の排出を促します。これにより、肩の硬さやこりが解消されやすくなります。
3. 肩関節の可動域回復
硬くなった筋肉や腱を緩めることで、肩の動きを取り戻すサポートを行います。鍼灸治療は筋肉を深部からリラックスさせるため、動きやすさを感じやすいのが特徴です。
五十肩の鍼灸治療の流れ
- 問診と触診
肩の痛みの程度や動きの制限、日常生活での影響を詳しく伺い、適切な治療計画を立てます。 - 鍼治療とお灸
肩周辺の筋肉やツボに鍼を施すことで痛みを緩和し、お灸で温熱刺激を与えることで血行を促進します。 - 全身のバランス調整
肩だけでなく、肩甲骨や首、背中の筋肉の状態も整えることで、全身の筋肉バランスを改善します。これにより、肩の負担が軽減され、再発予防にもつながります。
日常生活でのセルフケア
鍼灸治療に加えて、以下のセルフケアを取り入れることで五十肩の改善をサポートできます:
- 温める
痛みが強い場合は肩を温めることで血行を促進し、筋肉の緊張を和らげます。温湿布や入浴がおすすめです。 - ストレッチ
無理のない範囲で肩や肩甲骨を動かすストレッチを行い、可動域を少しずつ広げましょう。ただし、痛みが強い場合は無理をせず、専門家に相談してください。 - 姿勢を意識する
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用中は、肩に負担がかからない姿勢を心がけ、定期的に肩を回すなどの動作を取り入れましょう。
まとめ
五十肩は適切なケアを行うことで、症状の軽減や回復が可能です。
鍼灸治療は、自然治癒力を引き出しながら痛みを和らげ、肩の機能を回復させる安全で効果的な方法です。
当院では、患者さん一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせた治療を提供しています。
肩の痛みや動きの制限でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。快適な生活を取り戻すお手伝いをさせていただきます。